2022年4月19日の『仰天ニュース』にて広島県で起こった、見栄からウソをつき大学生殺害にまで至った事件が取り上げられます。
↓放送のあらすじ
男は高校を中退して以来10年近く、地元のガソリンスタンドで働いていた。人当たりがよく、地元の客からはかわいがられ、後輩の面倒見もよく、優しい性格。そんな男が残酷な方法で人を殺害し、金を奪った。果たして、何があったのか?
2015年6月に広島県で起きた強盗殺人事件です。
この記事では事件の概要をまとめているので、知りたい方はぜひ見て行ってください。仰天ニュースのネタバレにもなっているので、放送を見る方は注意してくださいね。
あらかじめ言っておきますが、この事件は内容が結構怖いものでした。あらすじの「残酷な方法」というのは中々恐ろしいものです。
事件について | |
事件が起きた日 | 2015年6月(21日~)23日 |
犯人・加害者 | 山本勝博(やまもと かつひろ) |
被害者 | 佐藤裕樹(さとうゆうき) |
目次
【仰天ニュース】大学生を殺害した犯人の山本勝博(やまもとかつひろ)について
収入は障害者年金のみ
まず事件を起こした山本勝博(やまもと かつひろ)さんについて軽く書いていきます。(事件当時は42歳)
山本さんは定職に就いておらず、多額の借金を抱えていました。
以前はガソリンスタンドで働いていた時もありましたが、高校中退後に患った足の病気が理由で辞めたそうです。この病気で山本さんは入退院を繰り返していました。
山本さんは20代の頃にガス壊疽(えそ)で右足を失っています。それ以降は義足や松葉杖で生活していたようです。
ガス壊疽
腕や脚のガス壊疽の場合、およそ5人に1人は腕または脚を切断する必要があります。
2010年8月ごろ、同じく入院していた被害者の佐藤裕樹(さとうゆうき)さんと知り合いました。
ここから山本勝博は被害者に嘘をつき続けるようになります。
【仰天ニュース】山本勝博が佐藤裕樹(さとうゆうき)と出会い、強盗殺人を起こすまでの経緯
被害者の大学生から100万円を借りる
この100万円は強盗殺人事件の大きな要因になります。
年齢が20歳近く離れている山本さんと佐藤さん。被害者の佐藤さんが、入院中に知り合った山本さんになぜ「100万円もの大金」を貸したのか。
これには山本さんが被害者の佐藤さんについたウソが関係しています。順を追って見ていきましょう。
山本勝博のウソ1 (入院中)
「インターネットで仕入れをして販売する事業をしている」
2人が病院で知り合ってから、山本さんは佐藤さんにこのように言っていたそうです。先に書いた通り山本さんは職に就いていませんでした。
つまり嘘を言って見栄を張っていたわけです。
佐藤さんの方が先に退院しましたが、佐藤さんは見舞いに行ったりしていて交友関係は続いていました。
山本勝博のウソ2 (2015年3月~)
「月30万、ボーナスも出すから一緒に働かないか?」
被害者の佐藤さんは2015年3月に当時アルバイトをしていたガソリンスタンドが閉鎖して仕事を失っていました。
その頃に山本さんが、こんな風に佐藤さんに言って架空の事業に雇いました。
「毎月25日払いで月給30万」「ボーナスを出す」「自動車のシーマをやる(823万円~)」などというウソの話をしていたんです。
この話を佐藤さんは信じてしまいました。ただ山本さんは障害者年金のみしか収入がなく、多額の借金も抱えているため、4月25日になっても給料を払いませんでした。
山本勝博のウソ3 (2015年5月~)
「100万円を貸せば、株で得た利益と100万円を返す」
山本さんは佐藤さんに対してこのように言って、100万円を借りました。
普通なら信じないようなものですが、山本さんは少し具体的な話をして騙していたんです。2015年5月上旬から佐藤さんに、「ドルが上がっているから家電製品の2社か3社の株が上がっている」「自分は10パーから20パーの利益が上がっている」などというウソを言ったり、新聞の株価の欄を見せていたそうです。
山本さんは株の知識は全くなく、買ったこともありません。
それでも佐藤さんは信じてしまったんですね。佐藤さんからすれば毎月30万の給料にボーナス、株の100万円プラス利益が貰える美味しい話ですし、5年ほど交友関係にあったので仕方ないのかもしれませんね。
そして佐藤さんは5月21日に現金100万円を引き出し、25日までの間に山本さんに渡しました。
当然ながら山本さんは株を買うつもりはなく、借金返済や生活費にあてるつもりでした。もちろん佐藤さんに「利益と100万円」を返済するあてもありません。
5月25日の給料日が来ましたが、また給料の支払いはありませんでした。
そこで佐藤さんは給料の支払いを繰り返し催促し、その要求に折れた山本さんは受け取った現金100万円のうち、30万円を振り込みました。
山本勝博のウソ4 (2015年6月~)
「ボーナス600万円を払う」
山本さんはボーナスとして600万円払うというウソを伝えていました。
そのため佐藤さんは6月上旬から、そのボーナスを支払うように繰り返し要求します。
6月8日に山本さんに「俺も100貸してる訳ですし筋が通らん訳じゃないでしょうか?」とメールを送信。
これに対して山本さんは、「家に行ったが不在であったため渡せなかった」などというウソをつき、支払いを先延ばしにしていました。
そして6月19日に、ボーナスの一部として現金40万円を渡しました。
佐藤さんは100万円を貸しましたが、ここまでで70万円しか返ってきていません。しかし、2人の金のやり取りはこれで終わりです。
全て山本さんのウソから始まった金の貸し借りですが、100万円の返済やその他の支払いができていません。
それを免れるべく、山本さんはとうとう事件を起こしてしまいます。ここから先は結構恐ろしいので注意してください。
【仰天ニュース】山本勝博(やまもとかつひろ)が大学生の佐藤裕樹(さとうゆうき)に薬物投与・殺害
大量の薬物投与で意識が朦朧の被害者を浴槽にいれる

引用:fc2.com
山本さんは佐藤さんに対して、6月21日から23日の間に薬物を大量に投与します。
しかしこの日だけでなく、以前にも薬物を投与していました。
2015年6月2日~6日にかけて
抗うつ薬やインスリンを投与
山本さんは佐藤さんに対して、抗うつ薬の「デジレル」、睡眠薬の「ロヒプノール」と「レンドルミン」を複数回に分けて服用させます。
それだけでなく、インスリン製剤が300単位入っているランタスを複数回注射しています。しかし、この時は佐藤さんに大きな体調の変化はなかったとのことです。
インスリンの入手ですが、山本さんは5月に糖尿病患者の知り合いからインスリンを受け取っています。
山本さんは事前にインターネットでインスリンの致死量などを調べていました。危険なことを承知の上で投与していたということですね。
副作用
デジレルの副作用:眠気、めまい・ふらつき等。
ロヒプノールの副作用:ふらつき、眠気、倦怠感、頭痛、嘔吐等。
レンドルミンの副作用:眠気、ふらつき、だるさ、めまい、頭痛、けん怠感等。
インスリン:過剰に投与すると低血糖状態になり、命の危険もある。
これを見ると本当に恐ろしいのですが、山本さんの犯行はここだけじゃ終わりません。
更に殺鼠剤を加えてまたやります。
2015年6月21日~22日にかけて
殺鼠剤やインスリンを大量投与
山本さんは6月21日の午後6時59分頃に佐藤さんの家に訪れ、6月23日の午前10時30分頃までの間に多量の薬物を投与しています。
先ほどの「デジレル」「ロヒプノール」「レンドルミン」「インスリン」に加えて、殺鼠剤の「デスモアA」を服用させます。
山本さんは殺鼠剤と空のカプセルをそれぞれ別のドラッグストアで購入していて、カプセルに殺鼠剤を入れて服用させています。
山本さんの自白によると投与した薬の量は以下の通りです。
「ロヒプノール」「レンドルミン」「デジレル」はそれぞれ合計44~58錠。
ランタス(インスリン)は合計48~76単位。
殺鼠剤は合計21~26カプセル。
薬を投与されていた佐藤さんですが、22日の午後10時6分頃から18分頃までの間に外出しています。また、午後10時31分頃には知人女性に電話をかけていて、午後11時23分頃に知人女性にLINEで返信しています。
22日時点ではまだ薬の効果が出ていなかったものと思われます。
しかし23日…。
2021年6月23日(事件の日)
「あてたたままたちたた」
佐藤さんは23日の午前8時9分,19分頃に祖母と電話をしています。その時の電話で佐藤さんは、酒焼けをしたようなガラガラ声をしていて、「毛布頼む」という不可解な発言をしていたそうです。
午前8時13分頃にはLINEで知人女性に対し、「あてたたままたちたた」というメッセージを送信しています。
それから佐藤さんはベッドの上で2回わたって嘔吐したようです。明らかに正常とは程遠い状態となっています。
午前10時30分頃、山本さんが佐藤さんに「風呂に入ろうと」声をかけ、浴室に行きます。
佐藤さんを体育座りの体勢で浴槽に入れてから、山本さんはお湯を入れ始めて浴室から出ました。
その約10分後に山本さんは浴室に行ってお湯を止め、佐藤さんに声をかけた際に反応があったそうです。
そして浴室を出てから5分から10分後、また浴室に向かいます。その時に佐藤さんから「背中の向きを変えたい」と言われたため、山本さんは手を貸して背中の向きを反対にしました。(発見時はうつぶせだった)
そして山本さんはまた浴室を出て、5分から10分後に再び浴室に行くと、佐藤さんは首を上下に振っている状態でした。
また浴室を出て、5分から10分ほど経った午前11時頃にまた浴室に行くと、顔が湯に浸かった状態にありました。
その状態を見た山本さんは救護することなく、義足をつけて外出する準備をします。そして佐藤さんの財布から1万円札のみ9枚を抜き、午前11時25分頃に立ち去っています。
山本さんは服用させた薬の殻やランタスの注射器は回収して処分し、のちに9万円を自身の口座に入金しています。
山本さんが義足を付けたのは外出前で、佐藤さんを浴槽まで運ぶ際は付けていなかったようです。
浴室まで運ぶ際は、毛布の上に佐藤さんを四つん這いにして乗せて、毛布を引っ張って浴室前まで運びました。その後立ち上がらせて体を支えながら浴室に入れて、浴槽に座らせました。その状態から佐藤さんは両足を浴槽に入れ、体全体を浴槽に入れて、体育座りのようになったそうです。
ただこれは山本さんの自白によるものなので、片足の山本さんが本当に運べたのか、信用できるものかはわかりません。
この事件の全容を知っているのは山本さんしかいないので…。
山本勝博が容疑者として浮上した経緯
別の詐欺事件で逮捕されていた
佐藤さんは最初は病死と見られていたようですが、不審な点が見つかり交友関係を調査していたところ、別件で逮捕されていた山本勝博が関与を供述したとのことです。
それを受けて2016年2月18日に再逮捕されました。
【仰天ニュース】ウソから始まった山本勝博(やまもと かつひろ)の大学生殺害まとめ
以上が事件の概要でした。
簡単に
・2人が病院で出会う
・架空の事業に被害者を雇う
・「100万円を貸せば、株の利益と100万円を返す」と嘘をつき100万円を借りる。
・被害者から支払いを繰り返し要求される
・しかし山本勝博は障害者年金しか収入がなく払えない…
・事件を起こす
簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。友好関係にあったと思われる2人ですが、こんな結末になってしまいまいた。
山本勝博の噓をつき見栄を張り続けたために、自分自身を追い詰めて事件を起こすまでに至りました。
なぜ佐藤裕樹さんが渡された薬を飲んでいたのかはわかりません。
ただインスリンに関しては、佐藤裕樹さんが「体が痛い」と言っていたため、山本勝博が『痛み止め』偽ってインスリンを注射していたとの供述をしていたそうです。